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背中デ愛ヲ、囁キナサイ

第1章 暗闇ノ中デ


 “近くにいるのに、遠く感じる……”
なんてよく言われるけど、それってこういうことなのかな。

 僕の腕の中で、小さな体をますます小さく固めた彼女の背中を、できるだけ優しく撫でながら、そんな事を考えた。

 彼女の滑らかな肌は、この手の中に確かにあるのに。


 こんなふうに思うのは僕だけなの?


 僕のが、だんだん硬度を失っていく。

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