秘密の蜜は甘い
第13章 あたしの王子様
「う…うん」
何も言えなかった。
『リクが男だって事くらい分かってるに決まってるじゃんか』位言えば良かったのに、口が思うように動かなかったのだ。
体が密着すれば、あんまり気付かなかった筋肉も当たって、リクが『男』だと意識してしまう。
リクも・・・男なんだ。
それ以降リクが何も喋らないので、あたしも何だか喋りかけ辛くて、結局お兄ちゃんと合流するまでリクとは何も話さないまま、家に帰った。
『・・・俺も男だから』
リクの言葉が
あたしの頭を支配する。
リクのくせに。
リクなのに。
・・・なんでこんなに
熱いのだろう?
あたしの〝熱〟は、家に帰っても部屋に入っても収まる事は無く、久しぶりにお兄ちゃんに寝かせて貰わずに寝た。
ベットの中でも、
熱は収まらない。
理由は・・・分かってる。
分かってるからこそ、
余計に熱くなる。
結局この日、全然眠れなかった。