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血とキズナ

第1章 約束のカギ

 二人の間に、少しの沈黙が流れる。

 こんな学校でも、窓の外では桜が咲いている。
 花びらが舞っている。

 明日斗が死んでも、それは変わらない。

 外の世界は、なんら変わらない。


「リツもすごいよな」

 佐山の言葉に、リツは首を傾げた。


「連れのためにこんなとこまで来てさ、簡単にできることじゃねえよ」


 佐山は本当にすごいと思ったのだろう。

 しかしリツの胸はちくりと痛んだ。


「そんなことねえよ」

「そんなことあるよ。
 天ヶ瀬がお前にカギ預けた気持ち、なんかわかった気がするぜ。
 お前の隣は、なんか安心する」

「男に言われてもな」

「なんだと! 俺じゃ不満か、あ?」

「ここ男しかいねえもんなぁ、色気のない高校生活になりそうだ」

「無視すんなっつの」


 膝の裏を蹴られた。
 膝が抜けて転けそうになると、佐山の笑い声が廊下に響いた。


 

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