血とキズナ
第6章 昔の俺と、今の君
最初から感じていた正体不明の親近感。
明日斗とか、そんな回りくどいもんじゃなかった。
なんてことはない。
似ていたのは自分だ。
昔の自分にそっくりだった。
なぜ今まで気づかなかったのか。
いや、違う。
最初から気づいていた。
でも、気づかない振りをしていただけだ。
親がいなくて、いるのは自分に興味のない大人ばかり。
人なんか信用できなくて、世界中の人間が敵に見えていた頃。
大切なものなんてあるはずもなく、頼れるのは自分だけ。
何もかもがどうでもよくて投げやりで。
だけどパワーだけはあり余っていて、怖いものなど何もなかった。
そのくせ、どうしようもなく空っぽで寂しくて真っ暗だった。
そんな昔の自分に鴇津が重なって、放っておけなかった。
鴇津の気持ちが、痛いほどわかる。
鴇津のほしいものも。
それを俺にくれたのは明日斗だった。
諦めていた俺を、無理矢理引っ張り出してくれた。
だから、俺もこの人にあげたい。
ずっとそばにいたいと、このときそう思った。
明日斗がそうだったように、自分も鴇津にとっての光になれたらいい。
鴇津のいる世界の辛さは、嫌というほどわかる。
できれば思い出したくもないし、戻るなんて絶対に無理だ。
それを知ってほしい。
自分のいる場所が、どれだけ真っ暗なのか。
そこにいる限り、それすらも気づかない。
だからせめて知ってほしい。
それだけでいい。
そうすれば、勝手に足が動くから。
行きたい方向が、見えるようになるから。
リツは笑って、鴇津の背中にしがみついた。
明日斗とか、そんな回りくどいもんじゃなかった。
なんてことはない。
似ていたのは自分だ。
昔の自分にそっくりだった。
なぜ今まで気づかなかったのか。
いや、違う。
最初から気づいていた。
でも、気づかない振りをしていただけだ。
親がいなくて、いるのは自分に興味のない大人ばかり。
人なんか信用できなくて、世界中の人間が敵に見えていた頃。
大切なものなんてあるはずもなく、頼れるのは自分だけ。
何もかもがどうでもよくて投げやりで。
だけどパワーだけはあり余っていて、怖いものなど何もなかった。
そのくせ、どうしようもなく空っぽで寂しくて真っ暗だった。
そんな昔の自分に鴇津が重なって、放っておけなかった。
鴇津の気持ちが、痛いほどわかる。
鴇津のほしいものも。
それを俺にくれたのは明日斗だった。
諦めていた俺を、無理矢理引っ張り出してくれた。
だから、俺もこの人にあげたい。
ずっとそばにいたいと、このときそう思った。
明日斗がそうだったように、自分も鴇津にとっての光になれたらいい。
鴇津のいる世界の辛さは、嫌というほどわかる。
できれば思い出したくもないし、戻るなんて絶対に無理だ。
それを知ってほしい。
自分のいる場所が、どれだけ真っ暗なのか。
そこにいる限り、それすらも気づかない。
だからせめて知ってほしい。
それだけでいい。
そうすれば、勝手に足が動くから。
行きたい方向が、見えるようになるから。
リツは笑って、鴇津の背中にしがみついた。