血とキズナ
第6章 昔の俺と、今の君
鴇津がハンドルに引っかけてあったヘルメットを被ぶると、リツは鴇津の後ろに跨がった。
「ア?」と鴇津が訝しみながら振り返ってくる。
「じゃあゲーセン行こう。んで、時間になったらバイト先まで送ってよ」
フルフェイスのヘルメットを被っていてもわかるほど、鴇津の眉間にシワが浮かぶ。
「何がじゃあだ。勝手なこと抜かしてんじゃねえ」
「いいじゃん、どうせ暇でしょ?
それに俺の護衛すんだろ?
男なら自分の言ったことは最後までやり通せよな」
ビシッと指を差してやると、鴇津は眉間のシワだけでなく青筋まで立てた。
「調子にノってんじゃねぇぞガキが。降りろオラ」
「いーでででっ、ギブギブ!」
胸ぐらを思い切り掴まれ、リツはその手をタップした。
するとその手は乱暴に外され、リツは軽く咳き込む。
だがその能天気な笑顔は消えていない。
「あはははっ。まあ、冗談は置いといて。
行こうよゲーセン。
そんでバイト先までツーリングしよう。
――ん? 二人乗りでもツーリングって言うのか?」
ここで鴇津を引き止めなかったら、もう二度と帰ってこないような気がした。
護衛なんてどうでもいいけど、それを鴇津が口実としているのなら、それを放棄させたくない。
きっとこの口実を離したら、鴇津は手の届かないところへ行ってしまう。
そんな根拠のない、でも拭うことのできない確かな不安が、胸の中にあった。
だって鴇津は――。
はっとした。
リツは、一つのモヤモヤがなくなったことを感じる。
「ア?」と鴇津が訝しみながら振り返ってくる。
「じゃあゲーセン行こう。んで、時間になったらバイト先まで送ってよ」
フルフェイスのヘルメットを被っていてもわかるほど、鴇津の眉間にシワが浮かぶ。
「何がじゃあだ。勝手なこと抜かしてんじゃねえ」
「いいじゃん、どうせ暇でしょ?
それに俺の護衛すんだろ?
男なら自分の言ったことは最後までやり通せよな」
ビシッと指を差してやると、鴇津は眉間のシワだけでなく青筋まで立てた。
「調子にノってんじゃねぇぞガキが。降りろオラ」
「いーでででっ、ギブギブ!」
胸ぐらを思い切り掴まれ、リツはその手をタップした。
するとその手は乱暴に外され、リツは軽く咳き込む。
だがその能天気な笑顔は消えていない。
「あはははっ。まあ、冗談は置いといて。
行こうよゲーセン。
そんでバイト先までツーリングしよう。
――ん? 二人乗りでもツーリングって言うのか?」
ここで鴇津を引き止めなかったら、もう二度と帰ってこないような気がした。
護衛なんてどうでもいいけど、それを鴇津が口実としているのなら、それを放棄させたくない。
きっとこの口実を離したら、鴇津は手の届かないところへ行ってしまう。
そんな根拠のない、でも拭うことのできない確かな不安が、胸の中にあった。
だって鴇津は――。
はっとした。
リツは、一つのモヤモヤがなくなったことを感じる。