血とキズナ
第8章 レース
目を覚ますと、すでに部屋の中に入り込む日は強く、暖かくなっていた。
布団は剥がれ、足元で丸くなっている。
枕元の携帯を覗き込むと、時刻は11時を過ぎていた。
鴇津はあくびをしながら、のっそりとベッドより起き上がる。
ちなみに、本日は平日。
学校のある日だ。
ここ最近は、しっかりと登校時間に通っていたが、元来鴇津はマジメに学校へ通うタイプではない。
アラームなどかけたこともなく、起きて気が向いたら学校へ行き、向かなければ街へ繰り出すような生活だったので、今までが異常だったのだ。
カギ狙いの連中が目に見えて寄ってこなくなったリツに、護衛の必要などまるでなくなり、毎朝一緒に登校するのが照れくさくなった鴇津は、以前の自堕落な生活に戻ってきた。
数日前からリツとの登校を止め、朝から登校する事はなくなった。
しかし、目が覚めて部屋にあるパンを食べて、髪をセットして制服に腕を通したら、自然と足が学校へ向かうようになった。
学校は、鴇津にとって暇潰しと、施設から出るための手段でしかなかった。
寮があり、出席日数が足りなくても、補習でどうとでもなる霧金は、最高の環境だった。
それは今も変わらないが、街で一人勝手気ままに過ごすより、学校へ足が向く理由ができた。