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血とキズナ

第3章 ノウテンキな男

「言葉のとおりだよ。
 まあ、大人しく寄こすなら、何もしないで帰してやってもいい」


 背後から足音が聞こえた。
 振り返ると、3人の男が立っている。


「逃げ足だけは速いって聞いたからな。
 これで逃げられないだろ」


 男の言葉は、あまり耳に入らなかった。

 そんなことより、リツには聞きたいことがある。


「どういうこと?」


 リツの目には、中林しか映っていなかった。
 中林を見据えながら、リツは問う。

 中林の視線が一瞬泳ぐ。
 そして、何も言わずに逸らした。


「テメエ、あんま調子こくなよ」


 無視されたことがムカついたのだろう。
 リーダー格の男がリツの胸ぐらを掴む。が、


「――いっ……でででっ!」


 その腕を、リツは左腕だけで捻り上げる。


「何であんたが、ここにいるんだよ。
 もしかして、明日斗のカギ、こいつらに売るのか」

「別に、そうじゃねえよ」

「じゃあ、なんでこいつらといるんだよ」


 中林は一瞬口ごもる。


「こいつらは双龍会の奴らだよ。カギの奪取に成功したら、俺も幹部になれんだよ」

「だから明日斗は売るのか」

「うるせえ!」


 中林が声を張り上げる。

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