血とキズナ
第4章 どうでもいい奴ら
「じゃあなー、シュン」
「おう、またな」
連れの原付で、佐山は寮の近くまで送ってもらった。
時間はまだ8時だが、どうにもリツのことが気になって仕方なかった佐山は、早々に切り上げてきた。
根っからのトラブルメーカー気質の奴だ。
何事もなく1日を終えていればいいが、――どうも悪い予感がする。
リツとは、入学初日に知り合って仲良くなったわけだが、中学の連れのように、一度も愛称で呼ばれていない。
自分は“リツ”と下の名前で呼んでいるだけに、少し悲しい。
「呼んでって言ったはずなんだけどなぁ……」
佐山はけっこう細かいことが気になるタチだ。
――まあ、二度も言うことでもないけど。
そんなことを考えながら寮の前まで来ると、霧金の寮を見上げるように佇む一人の青年がいた。
メガネにスーツという、まさに好青年といった出で立ちで、霧金とは縁もゆかりもないような人物だ。
不思議に思ったが、佐山は青年の横を素通りし、自室へと急いだ。
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