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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

 案の定、キョンシルに泣かれ、男はおおいに困惑している。
「心配することはねえ。すぐにすぐ殺されるってことはないから」
 さあ、食べなと、男が二つの器を突き出した。
「食べる間だけは手は自由にしてやっても良いって言われてるからよ」
 木の器には飯と野菜の煮たようなものがそれぞれ入っている。キョンシルは黙って首を振った。
「食欲なんてないわ。それよりも、私は自分がこれからどうなるか知りたいの。あなた、知らないの?」
 丸顔の男は少し迷うようなそぶりを見せてから、溜息をついた。

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