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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

 しくしくといかにも哀れっぽい声を上げて泣く真似をしてみせる。
「ど、どうしたんだよ。いきなり」
 しかもやって来たのは勘の鋭い兄貴分でははなく、少々鈍い弟分の方であった。彼等はミンチュの下で働いている手下だろう。もしかしたら、彼等の上に手下を束ねる親分のような奴もいるかもしれない。
 キョンシルは泣きながら言った。
「私は殺されるのね、ねえ、殺されるんでしょう」
 二十代後半の男は丸顔で、顔だけ見れば悪党には見えない。人はそう悪くはなさそうだ。これなら上手くいくかもしれない。

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