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　実直な印象を与える馬執事のことをトスもよく憶えていたし、また馬執事も数回の面識しかないトスをしっかりと記憶していた。
　馬面に濃い憂愁を漂わせている馬執事の様子は、事態がただごとではないと物語っていた。トスは即座にミンチュの屋敷に駆けつけた。
　果たして、崔ミンチュの屋敷の一角、忘れ去られたようにぽつんと放置されている納屋にキョンシルが監禁されていたというわけだ。
　キョンシルが例の事件の一部始終を思い返している最中、室の扉が静かに開いた。
「旦那さまがお逢いになるそうです」
　忠実な馬執事が顔を覗かせ、丁重に言った。
　キョンシルとトスは互いに顔を見合わせ、立ち上がった。