テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い

 だが、そのときは夕飯ができあがっているどころか、下ごしらえすらしている様子はなく、厨房も整然と片付けられたままだった。
 普段なら考えられないことだ。
 斜向かいの銀細工職人ウンスクも心配して、一緒に探し回ってくれた。キョンシルが行きそうな場所はすべて当たってみたけれど、結局、見つけられなかった。
 トスは最後の頼みの綱として、崔イルチェの屋敷を訪れた。もしやキョンシルがイルチェの見舞いに崔家を訪れたのではないかと考えたのである。
 しかし、キョンシルはそこにもいなかった。そこで、トスは有益な情報を得た。馬執事からイルチェの異母弟であるミンチュの動きが怪しく、キョンシルを連れ去ったのはミンチュの企みではないかと教えられたのだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ