側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第20章 第四話 【牡丹の花咲く頃には】 花びら占い
そう、明姫が懐妊したというのは、すべて嘘であった。ユンが苦渋の末に決断した苦肉の策であったのだ。
「あのときは、ああするしか方法はなかった。懐妊を発表しなければ、そなたは義禁府で拷問を受けることになったかもしれない。嫌疑が晴れたからといって、易々と引き下がるような大妃さまではないからな」
また何かしら理由をつけて、明姫を拘束し義禁府に連れ戻したことも考えられる。
実際には、黄内官から明姫が今にも義禁府で拷問を受けようとしていると聞き、咄嗟に選んだ道だった。あのときは結局、懐妊を持ち出さずとも、拷問を回避できた。義禁府長が国王の静かな怒りに触れただけで、怖じ気づき明姫を解き放ったのは幸いだった。
「あのときは、ああするしか方法はなかった。懐妊を発表しなければ、そなたは義禁府で拷問を受けることになったかもしれない。嫌疑が晴れたからといって、易々と引き下がるような大妃さまではないからな」
また何かしら理由をつけて、明姫を拘束し義禁府に連れ戻したことも考えられる。
実際には、黄内官から明姫が今にも義禁府で拷問を受けようとしていると聞き、咄嗟に選んだ道だった。あのときは結局、懐妊を持ち出さずとも、拷問を回避できた。義禁府長が国王の静かな怒りに触れただけで、怖じ気づき明姫を解き放ったのは幸いだった。