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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

「キョンシル! 止めろ」
 トスが声を荒げた。しかし、キョンシルは夢中で言い募った。
「そうよ、私はちっとも魅力的じゃないし」
 トスがやおら立ち上がった。
「ならば、試してみるか?」
 キョンシルは最初、トスの言葉の意味を理解できなかった。が、近づいてきたトスに腕を掴まれた刹那、本能的な恐怖がちりちりと背筋を這い上ってきた。
「そなたが魅力的でないかどうか、俺の眼に女として映っていないかどうか。そんなに知りたいのなら、教えてやっても良いんだぞ」
「トス―おじさん」
 キョンシルは首を振った。

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