
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第4章 偽りの別れ
あんなことがあった後でさえ、キョンシルはトスを嫌いにはなれなかった。むしろ、抗いはしたものの、あのときに感じたトスへの嫌悪感や恐怖の中に―ほんの僅かに混じっていた胸の高鳴りを思い出す度に、頬が熱くなり、余計にトスを忘れられなくなってしまった。
いっそのこと、嫌いになれたならば、どれだけ気が楽なことか。
しかし、無い物ねだりをしても仕方ない。義理の娘という立場に甘んじることで、キョンシルはいつでもトスの側にいられる。だから、我が儘は言わず、いつまでも〝可愛いキョンシル〟のままでいよう。
いっそのこと、嫌いになれたならば、どれだけ気が楽なことか。
しかし、無い物ねだりをしても仕方ない。義理の娘という立場に甘んじることで、キョンシルはいつでもトスの側にいられる。だから、我が儘は言わず、いつまでも〝可愛いキョンシル〟のままでいよう。
