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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

「もう自分を責めるな。それを言うなら、俺も同じだ」
「それは、どういうこと?」
「俺はソンニョにそんな持病があるとも知らなかった」
「そうだったの」
 キョンシルにも意外な話であった。あれほど親密な関係にあり、しかも結婚まで決まっていたのに、母はトスに病のことを話していなかったのだ!
 だが、母の気持ちも同じ女として少しは判るような気がした。
「多分、お母さんはトスおじさんの前ではずっと〝ソンニョ〟でいたかったのね」
 不審げな面持ちの彼に、キョンシルは説明した。

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