
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第4章 偽りの別れ
「でも、お母さんにはよく叱られたわ。外は寒いのに、私が胴着も着ずに出てゆくものだから、風邪を引くってね。だから、見つからないように、こっそりと出てゆくのよ」
キョンシルはふいに黙り込んだ。
「どうした?」
トスが心配そうに訊ねてくるのに、キョンシルは微笑む。
「そういえば、お母さんは寒いのが苦手だった。左胸が痛いと寝込むのも、大抵は寒い冬の日が多かったの。今から考えてみると、雪が嫌いなのも発作が起きるかもしれないと自分で不安だったからかもしれない」
彼女は小さな吐息をついた。
「私がもう少し気をつけてあげていれば良かったんだわ」
トスの顔が曇った。
キョンシルはふいに黙り込んだ。
「どうした?」
トスが心配そうに訊ねてくるのに、キョンシルは微笑む。
「そういえば、お母さんは寒いのが苦手だった。左胸が痛いと寝込むのも、大抵は寒い冬の日が多かったの。今から考えてみると、雪が嫌いなのも発作が起きるかもしれないと自分で不安だったからかもしれない」
彼女は小さな吐息をついた。
「私がもう少し気をつけてあげていれば良かったんだわ」
トスの顔が曇った。
