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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

 ここに、今、手を伸ばせば届く場所に抱きたい女がいる。なのに、何故、我慢しなければならない? どんなに泣こうと助けを求めようと、ここは人気もない畑の中、しかも今は真夜中だ。一旦自分のものにしてしまえば、後は思い通りに何度でも抱けば良い。
 若くて健康な娘ならば、すぐに身ごもるかもしれない。いや、身ごもらずとも、世間体もあるゆえ、すぐにでも妻にすれば良い。形さえ整えておけば、この娘はもうトスのものになる。いつでも好きなときに、この魅惑的な身体を思い通りにできる権利を得られるのだ。
 それに、この娘と人生をやり直すのも悪い話ではないかもしれない。太陽のように明るい、可愛い娘、心の優しい女だ。こんな女なら、ミヨンを失った哀しみも忘れ、心愉しい日々を送れるに違いない。そうだ、いっそのこと、この場で自分のものにしてしまえ。

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