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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第4章 偽りの別れ

 信頼しきったようなその寝顔を見ている彼の面に、温かい笑みがひろがった。笑顔になると、一見、男前ではあるが鋭い印象を与える容貌が少しやわらいで見える。
 再び焔が勢いを増し、彼は視線を少女から焔に戻す。火の粉をまき散らしながら燃える焔の色を宿した男の瞳には、はっきりと決意の色が浮かび上がっていた。

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