側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第5章 対面
とりあえず、キョンシルはトスに教えられたように拝礼(クンジヨル)を行った。まず立ち上がって両手を組んで眼の高さに掲げ、そのまま座って一礼。更に立ち上がり、もう一度、深く頭を垂れる。これで完璧のはずなのに、老人はしかめ面のままで、言葉すら発そうとはしない。
―そんなに眉を顰めてばかりいては、ただでさえ怖い顔が余計に怖くなって、元に戻らなくなりますよ。
そう言ってやりたいのは山々だが、流石にそれを口にしないだけの分別はあった。
こうなったら、対面の挨拶は済ませたし、後は〝さよなら〟だけして、さっさとここを出ていけば良い。キョンシルは勝手に決めると、口を開こうとした。
―そんなに眉を顰めてばかりいては、ただでさえ怖い顔が余計に怖くなって、元に戻らなくなりますよ。
そう言ってやりたいのは山々だが、流石にそれを口にしないだけの分別はあった。
こうなったら、対面の挨拶は済ませたし、後は〝さよなら〟だけして、さっさとここを出ていけば良い。キョンシルは勝手に決めると、口を開こうとした。