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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第5章 対面

 その直前、背筋を伸ばした老人が大きな声で言った。
「この娘がチソンの忘れ形見だというのか?」
 老人は、見てはいけないものを見る眼で信じられないというようにキョンシルを見やる。
 ただし、これはキョンシルに向けられた問いではない。キョンシルより少し離れて座る小柄な中年の男への質問である。
「は、はい」
 キョンシルをこの室に案内してくれたのもこの男で、皆から〝馬(マー)執事(ソバン)〟と呼ばれていた。確かに名前のとおり、縦長の顔は随分と間延びしていて、馬に似ていないこともない。そこまで考えて、キョンシルはついプッと吹き出してしまった。

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