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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第6章 崔家での日々

「まあ、はしたない」
「やっぱり、生まれが生まれなのよ」
「私、聞いたわよ。あの娘の母親って、酒場の女だったんだって。それで、その酒場に行ったここの若さまが見初めたらしいわよ」
「あら、私は酒場の女じゃなくて妓生だと聞いたけど」
「どっちだって、似たようのものよ。男に媚を売るのが生業(なりわい)じゃないの。そんなふしだらな母親を持つから、あの娘も母親に似て、男を手なずけるのが上手なんだわ」
「信じられない。こんな昼日中から男と二人きりで色目使って」
「でも、どうやったら男をその気にさせられるのか、教えて欲しい気もしない?」
「いやだ、チャンオクったら」
 娘たちの悪意のある含み笑いが響く。

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