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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第6章 崔家での日々

 トスにもこんな風にして胸に触れられたことはあった。そう、都に戻ってくる前日、周囲をトウモロコシ畑に囲まれた小屋で、危うく乱暴されかけたときのことだ。
 けれど、あのときのトスの手は、こんな感じではなかった。同じ大きくても、もっと固くて、しっかりとしていた。
 今、キョンシルの膚をいやらしく這い回っているこの手は、ぶよぶよして気持ち悪い。間違っても、トスのように鍛え抜かれた武人の手ではない。トスの手には、剣蛸が幾つもあった。
 キョンシルの焦りは最高潮に達した。この手はトスおじさんの手ではない。感触が全然違う。

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