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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第6章 崔家での日々

 親切な人が襟許をゆるめてくれたのか、呼吸が随分と楽になった。ひんやりとした空気が剥き出しの膚に気持ち良い。
 誰かが額に手を触れ、髪を撫でる。優しく、まるで素肌を愛しむように愛撫するように。
 この手はトスおじさんなの?
 キョンシルは思いがけぬ歓びに打ち震える。ああ、トスおじさんがやっと私を迎えに来てくれたのね。
 大きな手は相変わらず髪に触れている。やがて、その手が鎖骨に触れ、次第に下へと降りてゆく。いきなり胸の先端をキュッと力を込めて押され、キョンシルは総毛立った。
 違う! この手はトスおじさんなんかではない。

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