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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第6章 崔家での日々

 ああ、この声は間違いない。間違いなく―。
「あら、そんな娘なんて、あたしは見かけてもおりませんけど、若い妓(こ)は何をどう勘違いしたものやら」
 女将と呼ばれた女は曖昧な逃げ口上で煙に巻くつもりらしい。
 刹那、扉が勢いよく開いた。
「―キョンシル!」
「トスおじさん」
 キョンシルは叫んだ。

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