側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第6章 崔家での日々
キョンシルが見知らぬ男を睨みつけた時、室のすぐ外で男の声が響き渡った。
「ここが行き倒れの娘が運び込まれたという部屋か」
キョンシルの眼が大きく見開かれる。これは、この声は―。
「それよりも、おにいさん。私と一緒にどう、しっぽりやらない?」
明らかに媚を含んだ女の声音がねっとりと絡みつくようだ。
「もう一度だけ訊く。この妓楼に行き倒れの娘が運び込まれたと聞いたのだ。たった今、階下で若い妓生に訊ねたところ、その娘なら二階の座敷へ連れていったとのことだった。女将、正直に応えてくれ。その娘は俺の探している女かもしれないんだ」
「ここが行き倒れの娘が運び込まれたという部屋か」
キョンシルの眼が大きく見開かれる。これは、この声は―。
「それよりも、おにいさん。私と一緒にどう、しっぽりやらない?」
明らかに媚を含んだ女の声音がねっとりと絡みつくようだ。
「もう一度だけ訊く。この妓楼に行き倒れの娘が運び込まれたと聞いたのだ。たった今、階下で若い妓生に訊ねたところ、その娘なら二階の座敷へ連れていったとのことだった。女将、正直に応えてくれ。その娘は俺の探している女かもしれないんだ」