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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第6章 崔家での日々

「トスおじさん―」
 縋りつくキョンシルをトスがもう一度しっかりと抱きしめる。
「もう二度と離さない」
 トスはキョンシルの髪に唇を押し当て呟いた。
「あー、やってられないね。幾らここが妓房だからって、見せ物じゃあるまいし、愁嘆場なら、人眼につかないところでやってくれってんだ」
 女将はいかにも面白くなさそうに言い、呆れてそっぽを向いた。

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