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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第7章 未来を照らす一番星

 そのほんのわずかな距離は、イルチェとキョンシル、引いてはチソンやミヨンを遠く隔てていた十六年という歳月を表しているかのようでもあった。
 彼らの間に横たわっていたその長い歳月が今、少しずつ縮まってゆく。
「キョンシル。今更、何をと思うかもしれないが、崔家に戻ってくれぬか。儂は十六年前、大きな過ちを犯した。息子の切なる訴えを聞こうともせず、ただ一方的にチソンとお前の母親の結婚に反対した。ゆえに、あの子は屋敷を出てゆかざるを得なかったのだ。愚かな儂をもしまだ祖父と思うてくれるのなら、どうか孫として崔氏に戻り、家門を継いで欲しい。そなたの父や儂が果たせなかった夢を、そなたなら果すことができる」

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