
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第2章 哀しみはある日、突然に
大体、良い歳をした大人の男が髪も結わず、いつも無精髭を生やしている。身に纏っているといえば、朽ち葉色の上下で至って地味なものだ。貌は陽に焼けて浅黒く、精悍ともいえるが、要するに身なりには一切頓着しない男なのだ。
よくよく間近で見なければ、トスが苦み走った男前であるとは判らない。貌の半ばを覆った髭はトスの整った容貌を隠してしまって、ちょっと見には人相書きの指名手配犯とでも言えそうな、十分すぎるほど怪しい風体である。
長い髪は一体、いつ櫛を通したのかと疑いたくなるし、朽ち葉色の服もズボンも洗濯しているのだろうか定かではない。
よくよく間近で見なければ、トスが苦み走った男前であるとは判らない。貌の半ばを覆った髭はトスの整った容貌を隠してしまって、ちょっと見には人相書きの指名手配犯とでも言えそうな、十分すぎるほど怪しい風体である。
長い髪は一体、いつ櫛を通したのかと疑いたくなるし、朽ち葉色の服もズボンも洗濯しているのだろうか定かではない。
