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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第8章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 海の町から

「そうですよ。全っく、和尚も昔からせっかちなのは変わらないですね」
 トスが苦笑すると、和尚は鼻息も荒く言った。
「何を生意気な。儂も道理でおかしいと思ったわい。お前のようなむさ苦しい男に、このような麗しい天女のような娘が生まれるはずがない。お前の血を引く娘なら、どうせ野山を駆け巡る山猿のような娘に違いなかろうからの」
「和尚! そいつは、幾ら和尚でもあんまりだ」
 トスが本気で抗議するのに、キョンシルは笑いが止まらない。必死で笑いを堪える彼女を軽く睨み、トスは仏頂面で応えた。
「とにかく、しばらくの間、逗留させて下さい」

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