
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第8章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 海の町から
二人の暮らす建物の裏は、塀を越えればすぐ浜辺になっている。この寺は全体的に海に近いのだが、殊に最奥部が海沿いぎりぎりの場所に位置しているのだ。
粒子の細やかな白砂が果てなく続く海岸を絶え間なしに波頭が洗い、海の色合いと判別がつかぬ蒼穹高く白い鳥が飛翔する。じいっと眺めていると、刻の流れすら、ここでは都よりもゆったりとしているのでないかと思えてくるほどだ。
キョンシルは、よく裏の浜辺に出た。流石に、ここまで来ては、トスも一人で出かけるなとは言わない。道中は絶対に自分から離れるなとしつこいくらい言い聞かせられ、現に、その言葉を忠実に再現するように常にキョンシルの側にぴったりと張り付いて睨みを利かせていた。
粒子の細やかな白砂が果てなく続く海岸を絶え間なしに波頭が洗い、海の色合いと判別がつかぬ蒼穹高く白い鳥が飛翔する。じいっと眺めていると、刻の流れすら、ここでは都よりもゆったりとしているのでないかと思えてくるほどだ。
キョンシルは、よく裏の浜辺に出た。流石に、ここまで来ては、トスも一人で出かけるなとは言わない。道中は絶対に自分から離れるなとしつこいくらい言い聞かせられ、現に、その言葉を忠実に再現するように常にキョンシルの側にぴったりと張り付いて睨みを利かせていた。
