
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第8章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 海の町から
若い男がキョンシルに少しでも馴れ馴れしい口をきこうものなら、護衛か番犬よろしく怖い顔で
―何か用か?
と、凄みのある声ですかさず追い払う。大抵の男はトスの髭面と物騒な雰囲気だけで震え上がった。
―何でぇ、亭主がいるのかよ。そんなに大切な女房なら、袋の中にでも入れて背負って歩きな。
捨て台詞を投げつけられたことは一度や二度ではない。誰が見ても、トスとキョンシルは父娘というよりは少し年の離れた夫婦に見えるらしかった。
―何か用か?
と、凄みのある声ですかさず追い払う。大抵の男はトスの髭面と物騒な雰囲気だけで震え上がった。
―何でぇ、亭主がいるのかよ。そんなに大切な女房なら、袋の中にでも入れて背負って歩きな。
捨て台詞を投げつけられたことは一度や二度ではない。誰が見ても、トスとキョンシルは父娘というよりは少し年の離れた夫婦に見えるらしかった。
