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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司

 コクと小さな音を立て、男が水を飲み下した。固く閉じられていた瞳がうっすらと開く。
「良かった、気がついたんですね」
 思わず浮かんだ笑みにも安堵の表情が滲む。
「み、水。水を」
 男がうわ言めいて呟くので、キョンシルは男の口許に竹筒を当てた。男はそれまで気絶していたのが嘘のようにガバと半身を起こし、キョンシルからひったくるように竹筒を取った。まるで飢えた獣さながらの勢いで水を一気のみしてしまった。

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