
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司
礼というものは、自分の気持ちを満足させるために相手に与えてやるもの―、どうも世間知らずのこの坊ちゃんはそう考えているらしい。
「本当に良いですから。構わないで下さい」
そう言った時、腹の虫が突如として鳴った。キョンシルの雪膚が桜色に染まり、若者は眼を丸くしている。言い訳にしどろもどろになった。
「あ、あの、これはその」
「ごめん。お腹が空いていたのに、付き合わせてしまったんだね」
笑った邪気のない顔は、まるで子どものようだ。良くも悪くも本当に苦労知らずに育ったのだろうことを窺わせる笑顔であった。
「君がどうしても礼を受け取るつもりがないというのなら、何かご馳走させて」
「本当に良いんです」
「本当に良いですから。構わないで下さい」
そう言った時、腹の虫が突如として鳴った。キョンシルの雪膚が桜色に染まり、若者は眼を丸くしている。言い訳にしどろもどろになった。
「あ、あの、これはその」
「ごめん。お腹が空いていたのに、付き合わせてしまったんだね」
笑った邪気のない顔は、まるで子どものようだ。良くも悪くも本当に苦労知らずに育ったのだろうことを窺わせる笑顔であった。
「君がどうしても礼を受け取るつもりがないというのなら、何かご馳走させて」
「本当に良いんです」
