
側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司
「これ、もし迷惑でなければ、受け取って欲しいんだけど」
彼が手を動かす度に、しゃらしゃらと涼やかな音が鳴る。紅玉(ルビー)の耳飾り(イヤリング)だった。小さな滴型が繊細で可愛らしい。
「―綺麗」
思わず溜息が零れ落ちた。さほど高価なものではないのは、キョンシルにも判る。ウォンジュンの家は裕福だというが、わざわざ町の露店でも買えそうな品物を選んだのは、キョンシルに必要以上に気を遣わせまいとする優しさからだろう。
確かに光王の言うように、ウォンジュンという男は見かけより何倍も〝良い奴〟なのかもしれなかった。我が儘な坊ちゃんという見かけの下に不器用で優しい人柄が隠れている。
彼が手を動かす度に、しゃらしゃらと涼やかな音が鳴る。紅玉(ルビー)の耳飾り(イヤリング)だった。小さな滴型が繊細で可愛らしい。
「―綺麗」
思わず溜息が零れ落ちた。さほど高価なものではないのは、キョンシルにも判る。ウォンジュンの家は裕福だというが、わざわざ町の露店でも買えそうな品物を選んだのは、キョンシルに必要以上に気を遣わせまいとする優しさからだろう。
確かに光王の言うように、ウォンジュンという男は見かけより何倍も〝良い奴〟なのかもしれなかった。我が儘な坊ちゃんという見かけの下に不器用で優しい人柄が隠れている。
