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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司

「ええっ」
 キョンシルは耳を疑った。いきなりウォンジュンの家に来いだなんて、この男はやはり常識といったものが欠落しているようだ。悪い人ではないのだろうが、物心ついたときから、何でも望めば思い通りになってきたという恵まれた環境の人ならではの傲慢さはある。
 今もキョンシルが断るはずはないと信じ込んでいるようだ。キョンシルは唇を軽く噛み、うつむいた。なかなか言葉にするには勇気が必要だが、かといって、曖昧な言葉を並べ立てていたのでは互いのためにならない。
 キョンシルは意を決して面を上げた。
「ウォンジュンさま。私はご一緒できません」
「何故?」
 断られるとは予期していなかったウォンジュンは当然ながら、眼を瞠った。

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