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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司

トスはとりあえずキョンシルを自分たちが暮らす建物まで連れ帰った。もし、トスが来てくれなかったら、今頃、自分はどうなっていたのか。その先は考えるだに、怖ろしい。
 どんなにひ弱そうに見えても、ウォンジュンもまた男なのだ。改めて自分の無力さを思い知らされ、キョンシルは小刻みに身を震わせた。
「あれは李家の息子だろう。俺も顔を見るのは初めてだが、ここまで案内してきた若い僧に自分の方から名乗ったと聞いた。何で、あんな奴がそなたの前に現れたんだ?」
 トスの疑問は当然といえばいえた。キョンシルは数日前、町中でウォンジュンと出逢ったこと、暑さにやられて倒れた彼を介抱したことをかいつまんで話した。

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