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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第9章 第二話 【はまゆうの咲く町から】 李家の御曹司

「なるほど、そういう経緯があったのか」
 トスは頷きながらも、思い切り眉をしかめている。
「なら、あいつにとってキョンシルは生命の恩人ではないか。その恩人に無体な真似をするとは、全くけしからぬ奴め」
「トスおじさん、生命の恩人なんて大袈裟すぎるわ」
 キョンシルは笑ったが、トスは真剣な表情で続けた。
「キョンシル、どうも、そなたは人が好すぎる。困っている者を捨て置けぬというその心は尊いものだが、あまりにも無防備に人を信用し近づいては、そなた自身の身を危うくすることにもなりかねないぞ」
「私なら、大丈夫よ。もうウォンジュンさまとは二人きりになったりしない。それなら、良いでしょ?」

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