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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病

 美しいチマチョゴリを身に纏わせ、光り輝く宝玉であの清らかな美少女をこれ以上はないというほど飾り立ててやるのだ。
 若い女なら誰もが羨む幸運を差しだそうとしているのに、何故、あの娘は受け取ろうとしないのだろう。
 そういえば、と、ウォンジュンは痛む頭を抱え、思い出していた。
―私には心に決めた男がいます。
 初めて町中で出逢った日の彼女の言葉がありありと甦る。心に決めた―好きな男。キョンシルの、あの眩しい笑顔の少女が恋い慕う男。想像しただけで、嫉妬で頭がガンガンして割れそうだ。
 なるほど、他に惚れた男がいるのならば、自分の方を見ようとしないのは当然だ。では、どうすれば、あの娘をこちらに振り向かせられるのか?

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