側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病
丸顔の人懐っこい少年はまだ八つだが、この寺に来てもう三年になると聞いた。隣村で飢饉が起こった年、口減らしのために自ら望んで修行僧になったという話を慈心和尚から聞かされたのだ。
「ああ、ありがとう」
笑顔で礼を言うと、幼い僧はにこっと笑って引き返していった。少年僧と入れ替わりに、壮年の男がゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。一見、威風堂々とした姿だが、何かトスは嫌な感じが拭えなかった。
自分に自信を持つのは結構なことではあるけれど、己への度を過ぎた過信は嫌が上にも態度に滲み出て、鼻につくものだ。この男には自信過剰な者が放つ押しつけがましさのようなものがこれ見よがしに漂っている。
「ああ、ありがとう」
笑顔で礼を言うと、幼い僧はにこっと笑って引き返していった。少年僧と入れ替わりに、壮年の男がゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。一見、威風堂々とした姿だが、何かトスは嫌な感じが拭えなかった。
自分に自信を持つのは結構なことではあるけれど、己への度を過ぎた過信は嫌が上にも態度に滲み出て、鼻につくものだ。この男には自信過剰な者が放つ押しつけがましさのようなものがこれ見よがしに漂っている。