側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病
その日の夕刻。トスは部屋で仰向けに横たわっていた。両腕を頭の後ろで組み、枕代わりにして天井を見るとはなしに見つめる。もう、どれくらいの間、こうして無為に天井を眺めていたことやら。
あの男―李ソンジュンがここにいたのは、ほんの四半刻ほどのものだったろうから、既に半日近くもの間、ここで天井と睨めっこしている勘定になる。
まさか、イ・ソンジュンほどの大物がわざわざ逢いにくるとは、流石に考えてもいなかった。いや、ソンジュンは何もトスに逢いに来きたわけではない。キョンシルの保護者であるトスに逢いにきたにすぎないのだ。
―まあ、流石に一代で名をなし財を築いたやり手だけはあるな。押しも強いが、道理も心得ている。
あの男―李ソンジュンがここにいたのは、ほんの四半刻ほどのものだったろうから、既に半日近くもの間、ここで天井と睨めっこしている勘定になる。
まさか、イ・ソンジュンほどの大物がわざわざ逢いにくるとは、流石に考えてもいなかった。いや、ソンジュンは何もトスに逢いに来きたわけではない。キョンシルの保護者であるトスに逢いにきたにすぎないのだ。
―まあ、流石に一代で名をなし財を築いたやり手だけはあるな。押しも強いが、道理も心得ている。