側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第10章 第二話 【はまなすの咲く町から】 恋の病
今日も初印象は父親の足許にも寄れぬ甘ったれた若造だと思ったものだったが―、話している中に、なかなかどうして父親にもない優れた面を持っている男だと知れた。
息子の方は、人の心の繊細さを推し量るすべを持ち合わせている。これは努力して身につけるものではなく、生まれながらにして持っている鋭敏な感覚であった。多分、彼自身が誰よりも繊細な心の持ち主だからといえるかもしれない。繊細さは同時に脆さ、弱さにも繋がるが、人の心の痛みを推し量れる者、痛みを知る者は、時に予想外の強さを発揮するものだ。
息子の方は、人の心の繊細さを推し量るすべを持ち合わせている。これは努力して身につけるものではなく、生まれながらにして持っている鋭敏な感覚であった。多分、彼自身が誰よりも繊細な心の持ち主だからといえるかもしれない。繊細さは同時に脆さ、弱さにも繋がるが、人の心の痛みを推し量れる者、痛みを知る者は、時に予想外の強さを発揮するものだ。