側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実
   真実
 
その日の夜になった。トスとキョンシルは向かい合って夕飯を取っている。それぞれの前には小卓が置かれ、麦飯と汁物、野菜の羮の器が並んでいた。どれも質素なものだが、量だけはたっぷりとある。
いつもと変わらない光景ではあるが、少し違うのはキョンシルが何も喋らないことだ。いつもなら、その日あった―とはいえ、寺の一室で繕い物ばかりしていては、たいしたこともないが―ことを何かしら面白おかしく話すのが日課のようになっているのだ。
その日の夜になった。トスとキョンシルは向かい合って夕飯を取っている。それぞれの前には小卓が置かれ、麦飯と汁物、野菜の羮の器が並んでいた。どれも質素なものだが、量だけはたっぷりとある。
いつもと変わらない光景ではあるが、少し違うのはキョンシルが何も喋らないことだ。いつもなら、その日あった―とはいえ、寺の一室で繕い物ばかりしていては、たいしたこともないが―ことを何かしら面白おかしく話すのが日課のようになっているのだ。
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