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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実

 キョンシルが塞いでいることに思い当たる理由もないままに、トスはトスでまた鬱々と思い悩んでいたのである。
「キョンシル」
「トスおじさん」
 殆ど同時に呼びかけ合い、二人は唖然として顔を見合わせた。やがて、またプッとどちらからともなく吹き出す。
「何だ?」
「ううん、良いの」
 首を振り、また黙々と飯を食べ始める。トスは溜息をつき、キョンシルのうつむけた顔を見た。

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