側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】
第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実
「別に芝居小屋で働くつもりはないからな」
ふて腐れたように言い、自棄のように飯をかっ食らう。
一方、キョンシルは、今夜のトスの奇妙な言動を思い切り怪しいと思っていた。元来、トスは嘘を嫌う男なのだ。そんな彼が何がどうしたのか、つきなれない嘘を並べ立ててまで、キョンシルをこの寺から出そうとしている―。
もしや。キョンシルの胸は哀しい予感におののいた。
「ねえ、何で今日に限って、そんな下手な嘘ばかりつくの?」
「下手なだけは余計だ」
トスは憮然として言いながらも、髭を剃って、つるりとした顎を撫でた。
ふて腐れたように言い、自棄のように飯をかっ食らう。
一方、キョンシルは、今夜のトスの奇妙な言動を思い切り怪しいと思っていた。元来、トスは嘘を嫌う男なのだ。そんな彼が何がどうしたのか、つきなれない嘘を並べ立ててまで、キョンシルをこの寺から出そうとしている―。
もしや。キョンシルの胸は哀しい予感におののいた。
「ねえ、何で今日に限って、そんな下手な嘘ばかりつくの?」
「下手なだけは余計だ」
トスは憮然として言いながらも、髭を剃って、つるりとした顎を撫でた。