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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実

 悪さをしでかした悪童に言うように決めつけられ、トスは肩を竦めた。
「バレたか」
「トスおじさんにしては、今度は話が上手すぎるわ。それに、おじさん。何でこの町いちばんの豪商だという人がわざわざ下働きの女中捜しにここまで来るの? 折角、上手に言えても、これじゃ内容がいかにも嘘っぽいわよ。どうせつくなら、もっとマシな嘘を考えてね」
「うう、この筋書きは何度も考え直して、練習までしたんだけどな」
 トスがいかにも口惜しそうに言うのに、キョンシルは笑った。
「トスおじさんは、芝居を書くのには向いていないみたいね」

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