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　キョンシルの脳裏に先刻見たばかりの光景が甦った。見知らぬ女と親密そうに寄り添っていたトスの姿と美しい臈長けた女の姿がちらついて離れない。
　しかし、今夜はこれ以上、揉め事を起こしたくはなかった。それに、明日の朝は出てゆくのだから、必要以上に悪い想い出を残してゆくのは止めた方が良い。
　キョンシルは自分も夜具を敷くと、手早く夜着に着替え、やはりトスに背を向けて横になった。どこかでミミズクが淋しげに啼いている。色々ありすぎて眠れないと思っていたのに、自分でも憶えていないくらいに、キョンシルは早々に眠りに落ちた。