テキストサイズ

側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第11章 第二話 【はまなすの咲く町から】 真実

 ならば、今夜、キョンシルが導かれるようにしてここに来たのも、そしてトスの心の真実をかいま見たのも、すべては御仏の配慮だったのかもしれない。
 キョンシルはしばらく観音仏の前に座って、御仏を見上げていた。半刻ほど経って、来たときと同じように静かに本堂を出た。室に戻ってみると、愕いたことにトスは既に帰っていた。質素な夜具をのべて、こちらに背を向けて横になっている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ