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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか

「そういえば、君はあの親代わりとかいう人と一緒に暮らしているね。本当のご両親はどうしたの?」
「亡くなりました。父は私がまだほんの赤ン坊の頃、母は二ヶ月前に」
「そうだったのか。済まない、辛いことを思い出させてしまった」
「いいえ」
 キョンシルはかぶりを振り、ウォンジュンを見つめた。
「今日はお伝えしたいことがあって来ました」
 キョンシルの態度から、感じるものがあったのか、ウォンジュンは白い顔にほろ苦い笑みを刻んだ。
「なに? その顔つきでは、僕にとってはまり嬉しい話ではないということ?」
 キョンシルは袖をまさぐり、小さな蒼色の巾着を取り出した。他ならぬウォンジュンから貰ったものだ。

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