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側にいられるだけで④【牡丹の花の咲く頃には】

第12章 第二話 【はまなすの咲く町から】 心のありか

「それは若さまの買いかぶりです」
 直截に褒められ、キョンシルは白い頬を上気させた。
「君の言うとおりだ。一度、父に商売を学んでみたいと言ってみるよ」
「是非、そうなさって下さい」
 キョンシルも眼を輝かせて言った。
「あの人―光王も言っていましたよ。若さまは見かけによらず、良い方だと。私、おかしかったんです。若さまもあの人も同じことを言うんだもの」
 ウォンジュンは声を立てて笑った。
「腐れ縁っていう奴かな。光王とはもう本当に長い付き合いなんだ。まだ五つ、六つくらいの頃からの知り合いだから。あいつは名の通ったガキ大将でね。僕は見てのとおり、弱々しい子どもで、同年齢の子からよく苛められたんだよ。

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